Inheritance
相続のご相談
不動産の相続に必要な手続きとは?
相続の方法や必要書類・費用などを解説します。
不動産を相続するまでの流れ
相続が発生した場合、さまざまな手続きが必要となります。 特に不動産の相続に関しては、どのように手続きを進めればよいか迷われる方も多いかと思います。不動産を相続する可能性がある場合、その手続きについて事前に理解しておくことが重要です。以下に、不動産の相続手続きの流れや方法、相続登記にかかる費用、必要書類などについて詳しく解説いたします。
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遺言書を確認する
相続が発生した場合、最初に行うべきは遺言書の確認です。遺言書が存在する場合、その内容に従って相続手続きが進められます。遺言書が見つかるまでの間、全ての相続手続きを保留にすることが望ましいです。遺産分割協議後に遺言書が見つかった場合でも、遺言書の内容が優先されます。
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相続人を確定させる
遺言書の有無を確認しつつ、速やかに相続人を確定させます。これには、被相続人が生まれてから死亡するまでの全ての戸籍謄本を取得し、誰が相続人であるかを確認します。新たな相続人が後から発覚すると、遺産分割協議をやり直さなければならないため、注意が必要です。
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財産を特定して財産目録を作成する
相続人の確定と並行して、被相続人の財産を特定し、財産目録を作成します。不動産が相続財産に含まれている場合は、市区町村から届く固定資産税の課税明細書を確認しましょう。また、該当する市区町村役所(東京23区の場合は都税事務所)で「名寄帳」の写しを取得すれば、その市区町村で被相続人が所有している不動産の情報を一覧で確認できます。課税明細書が手元にない場合は、不動産があると思われる市区町村で「名寄帳」を調査する必要があります。
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遺産分割協議を行う
遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行います。この協議では、誰がどの財産をどのように相続するかを話し合います。協議の結果、合意に達した内容を基に遺産分割協議書を作成します。この協議書には、相続人全員の署名と押印が必要です。
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相続財産の名義変更(不動産の相続登記)
不動産を相続する場合、相続登記を行うことで不動産の名義を被相続人から相続人に変更します。この登記には、登記事項証明書などの必要書類を事前に準備する必要があります。
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相続税の申告・納付
相続税の申告および納付は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。期限内に申告・納付をしないと、特例の適用が受けられなくなるほか、無申告加算税や延滞税が発生する可能性がありますので、注意が必要です。
以上が、不動産を相続する際の基本的な流れとなります。手続きをスムーズに進めるためには、各ステップを丁寧に行うことが重要です。
- 相続税の計算式①:正味の遺産額を計算する
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正味の遺産額は次の計算式で求めます:
正味の遺産額 = すべての財産 - 非課税財産 - 債務など + 一定の贈与財産
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・財産の洗い出し
不動産、預貯金、現金、株式など、相続の対象となるすべての財産をリストアップします。
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・非課税財産の除外
お墓や生命保険金、死亡退職金の一定部分など、相続税の対象外となる財産を差し引きます。
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・債務の差し引き
被相続人の借金、未払い金、葬式費用などを差し引きます。
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・贈与財産の加算
相続開始前3年以内の贈与財産および相続時精算課税制度の対象となった贈与財産がある場合、これを加算します。
※2024年1月1日から、暦年課税による贈与財産の加算期間が3年から7年に延長されます。ただし、延長された4年間に受けた贈与のうち、総額100万円までは相続財産に加算されません。 - 相続税の計算式②:基礎控除額を計算する
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次に、基礎控除額を計算します。計算式は以下の通りです:
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
- 相続税の計算式③:課税遺産総額を計算する
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①で求めた正味の遺産額から、②で求めた基礎控除額を差し引いて、課税遺産総額を計算します:
課税遺産総額 = 正味の遺産額 - 基礎控除額
※課税遺産総額がマイナスまたはゼロの場合、相続税は発生しません。
- 相続税の計算式④:課税遺産総額を法定相続割合で割る
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③で求めた課税遺産総額を、法定相続分に従って各相続人に割り当てます。
- 相続税の計算式⑤:法定相続分に応じた相続税額を計算し、相続税の総額を算出する
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各相続人の相続財産に応じた相続税率を適用し、相続税額を計算します。これを合計して相続税の総額を算出します。
- 相続税の計算式⑥:実際に相続した財産割合で税額を按分する
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実際に取得した遺産の割合に応じて⑤で算出した相続税の総額を按分し、各相続人に割り当てます。配偶者や未成年者などに該当する場合は、それぞれの控除を適用します。
不動産を相続する方法は、大きく4つに分けられます。それぞれの方法について具体的に見てみましょう。
- 現物分割
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現物分割とは、不動産をそのままの形で相続する方法です。例えば、不動産が2つあり、相続人が2人の場合、各相続人が1つずつ不動産を受け取る形です。この方法は手続きが比較的簡単ですが、評価額が異なる不動産を分けると、不公平感が生じる可能性があります。
- 代償分割
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代償分割では、不動産などの財産を現物で相続した相続人が、他の相続人に対して代償金や他の財産を渡す方法です。例えば、評価額5,000万円の不動産を1人が相続し、もう1人に対して2,500万円の代償金を支払う場合などです。代償金の額は当事者間の合意で決められますので、必ずしも均等である必要はありません。
- 換価分割
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換価分割は、不動産を売却して現金に換え、それを相続人で分割する方法です。例えば、3,000万円で不動産を売却し、相続人が3人いる場合、各相続人が1,000万円ずつ受け取ることになります。この方法は、相続人が不動産を望まない場合や相続税の支払い資金を準備するために有効です。
- 共有名義
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複数の相続人が不動産を共有名義で相続する方法です。この場合、各相続人の持分割合を設定して登記します。しかし、共有名義にはいくつかの問題が生じやすいです。例えば、一人が単独で住んでいる場合、他の相続人は退去を要求できなかったり、不動産を売却する際には全員の合意が必要だったりします。また、固定資産税の支払いが滞ると連帯責任が生じます。さらに、共有者の一人が亡くなった場合、その相続人が新たに共有者となり、トラブルの原因になることがあります。
これらの方法を選択する際には、それぞれのメリットとデメリットを十分に考慮し、相続人同士でよく話し合うことが重要です。
不動産を相続する際には、不動産の評価額を確認する必要があります。相続税の申告における不動産の評価額は、購入時の価格や建築費用ではなく、現在の時価で計算されます。しかし、土地の時価を把握するのは簡単ではありません。そのため、国税局では毎年、全国の民有地について土地の評価額の基準となる路線価や評価倍率を公開しています。不動産の評価額は、土地なら路線価、家屋なら固定資産税評価額を基に計算されます。
また、居住用の区分所有財産(一室の区分所有権など)については、2023年10月6日に国税庁から「居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)」が発信され、2024年1月1日以降の相続等に適用される相続税評価が変更されました。
以下に、各評価方法について詳しく解説します。
- 土地の評価方法
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・路線価方式
現物分割とは、不動産をそのままの形で相続する方法です。例えば、不動産が2つあり、相続人が2人の場合、各相続人が1つずつ不動産を受け取る形です。この方法は手続きが比較的簡単ですが、評価額が異なる不動産を分けると、不公平感が生じる可能性があります。
・倍率方式
倍率方式は、路線価が設定されていない土地の評価方法です。固定資産税評価額に、その土地に設定された倍率を掛けて評価額を算出します。倍率も国税庁の路線価図や評価倍率表で確認できます。
- 家屋の評価方法
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家屋の評価額は、固定資産税評価額をそのまま使用します。固定資産税評価額は毎年送られてくる課税明細書に記載されていますが、手元にない場合は市区町村役場の窓口で確認できます。
- 居住用区分所有財産の評価方法
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居住用区分所有財産(一室の区分所有権など)の価額は、以下のように算出します。
居住用区分所有財産 = 区分所有権の価額(A) + 敷地利用権の価額(B)
- 区分所有権の価額
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区分所有権の価額は、従来の区分所有権の価額に区分所有補正率を掛けて求めます。
区分所有権の価額 = 家屋の固定資産税評価額 × 1.0 × 区分所有補正率
区分所有補正率は、以下の4つの指標を基に計算されます:
・築年数
・総階数
・所在階
・敷地持分狭小度(マンション全体の土地のうち区分所有者に帰属する面積の狭さ) - 敷地利用権の価額
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敷地利用権の価額は、従来の敷地利用権の価額に区分所有補正率を掛けて求めます。
敷地利用権の価額 = 路線価(画地補正後) × 敷地全体の面積 × 敷地共有の持分(敷地権割合) × ◆区分所有補正率
区分所有補正率の計算に使用される指標は、区分所有権の価額と同じです。
これらの評価方法を理解することで、不動産の相続手続きをスムーズに進めることができます。
不動産を相続する際には、相続税だけでなく、相続登記に関する費用もかかります。ここでは具体的な費用について解説します。
- 登録免許税
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相続登記を行う際には、登録免許税が必要です。この税額は、固定資産税評価額を基に計算されます。具体的には、固定資産税評価額の下3桁を切り捨てた額に、税率0.4%を掛けて算出します。さらに、算出された金額の下2桁は切り捨てます。
- 登記事項証明書などの取得費用
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相続登記には、様々な書類を取得するための費用も発生します。これには以下のものが含まれます。
・登記事項証明書:法務局の窓口で書面で交付請求する場合、不動産1件につき600円の手数料がかかります。
・戸籍謄本:相続人の確認のために必要です。取得費用は市区町村によって異なりますが、1通あたり450円前後です。
・住民票:被相続人や相続人の住民票の取得が必要です。これも市区町村によって異なりますが、1通あたり300円前後です。
・郵送費:書類を法務局へ送付するための郵送費もかかります。郵送費は送付方法や重量によって異なりますが、数百円から千円程度が一般的です。
- その他の費用
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印紙代: 各種証明書の発行には、印紙代がかかる場合があります。
司法書士費用: 司法書士に相続登記を依頼する場合、その手数料が必要です。手数料は依頼する内容や不動産の数によって異なりますが、数万円から十数万円程度が一般的です。
これらの費用を合計すると、不動産の相続登記にかかる総額は、物件の評価額や必要な書類の数、司法書士への依頼の有無などにより大きく変動します。相続登記を円滑に進めるためには、これらの費用を事前に把握し、準備しておくことが重要です。
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